ニュースリリース

2015年 データ復旧業界の市場規模についての調査結果を発表

2016/12/20

 

クラウド市場の成長やスマートフォンの普及を背景に、フラッシュストレージの採用は急速に伸びるも
ハードディスクのデータ復旧は今後、徐々に減少傾向と予測

日本データ復旧協会、
昨年に引続き、2015(112)のデータ復旧市場規模について統計データを発表 
HDD
の復旧依頼件数は85,700台と微増

データ復旧の業界団体である日本データ復旧協会(住所:東京都港区 以下、日本データ復旧協会)は、昨年(2014年(1月-12月)統計)に引続き、2015年(1月-12月)統計のデータ復旧協会の市場規模を発表しました。

調査の結果、2015年(1月-12月)における業界全体のHDDの復旧依頼件数は、前年比4700台増(サーバー案件の4,500台含む)の85,700台と推定いたしました。2015年 PC出荷台数は前年比31.5%減、前年から485万台少ない1,055万台、スマートフォンの増加とともに、PCの出荷台数が世界的に低迷する中、近年急速に普及したNAS1が一般家庭にまでに及んだことで、ユーザーの誤操作によるデータ消失、ランサムウェアなどにみられる、ウイルスの脅威などで復旧件数は微増となったものと考えられます。

次年度以降は、過去利用してきたPCの潜在的な需要は残りつつも、近年出荷されるPCにおいては、HDDからSSDやeMMC(実装型フラッシュストレージ)を採用した機種が半数近くになっており、ストレージ自体の消耗に起因するデータ消失は少なくなってくると見込まれ、これらのストレージに対する復旧技術の難易度の高さなど課題は山積しています。また企業においては情報漏洩事故に見られるデータ管理の重要性やセキュリティへの意識・関心が高まりバックアップ体制が整う一方で、個人の方が所有するデータに関しては、スマートフォンやmicroSD、家庭用のNASに一元化されつつある状況もあり、協会としても新たなる技術分野に取り組むべき転換期に来ております。

※1)NAS(Network Attached Storage) : ネットワークストレージ、ネットワーク接続ストレージ。 NASとは、ネットワークに直接接続し、コンピュータなどからネットワークを通じてアクセスできる外部記憶装置(ストレージ)。

今回の復旧依頼数、復旧台数の推定根拠は下記の通りです。

PC ※IDC参考 外付けHDD(NAS含む)
販売台数(2015年) 1055万台 販売台数(2015年) 270万台
稼働分(5年分) 6300万台 ※稼働分(5年分) 1490万台
データ喪失率 1.00% データ喪失率 1.00%
復旧必要台数(②×③) 63万台 復旧必要台数(⑧×⑨) 14.9万台
復旧依頼率 11.0% 復旧依頼率 8.00%
復旧依頼台数(④×⑤) 6.93万台 復旧依頼台数(⑩×⑪) 1.19万台

※バックアップ用とし、アーカイヴで想定

サーバー※IDC参考  
販売台数(2015年) 56.2万台 復旧依頼率 15.0%
稼働分(5年分) 300万台 復旧依頼台数(⑯×⑰) 4500台
データ喪失率 1.00% 合計復旧依頼数(⑥+⑫+⑱) 8.57万台
復旧必要台数(②×⑮) 3.00万台  

※1有効数字は3桁とする。
※2 ⑤,⑪,⑰の復旧依頼率は昨年同様、各社の経験値から算定。
※3「外付けHDD(NAS含む)」の販売台数については、当協会独自調査から推計。

< 最新の技術情報と対応事情 >

・ランサムウェアへの対処について

近年、急速に被害が増大しているランサムウェア(身代金型ウイルス)の被害が挙げられます。このウイルスに感染したPCはアクセスが制限される、操作不能にされる、あるいはデータが暗号化されて利用できない状態にされる等といった症状が現れます。代表的な症例として制限の解除や暗号化されたデータの復号化を条件に、身代金(ランサム)の支払いを要求するのが特徴です。これらウイルスにおいては、感染後に対処するのは難しく、特に暗号化されたデータを復号化することは困難ともいわれ、画面表示や感染後に届いたメールに従って身代金を支払ってしまう例も多くあるようです。

ただし、身代金を支払うことで確実に制限の解除や復号化される保証があるわけではないため、普段からOSを最新の状態に保ち、セキュリティソフトのインストールと更新を行い、定期的にバックアップを作成する等の予防によって自衛するのが当協会として推奨する最も効率的かつ確実な対処となります。多くの感染源は、メールに添付されたファイルを開いたことによるもので、関係者なら誤って開いてしまうような件名で送られて来るなど、その手口も巧妙になってきていますので、お客様のセキュリティに関するリテラシー向上に委ねる以外に防ぐ手立てがないのが現状です。ただ暗号化は一瞬で行えるものではないため、感染が疑われる場合や確認された場合は、直ちにネットワークから切り離し、PCを速やかにシャットダウンして被害の拡大を食い止めてください。なお、止むを得ずお客様のビットコインを用いた身代金の決済を行う場合、第三者にお客様の決済情報が判ってしまいますので、取引所を介した支払いを推奨します。

< 当協会が推進するサービスクオリティ >

・「データ復旧サービスの信頼性について」

これからデータ復旧を依頼される方々のために、市場に存在するさまざまなサービスから何を基準に業者を選択すべきかの判断として、以下に6つのチェックポイントを挙げてみました。

【 対応 】 依頼を煽るような対応がないか、事前に同意できる説明が行われているか。

【 規模 】 従業員がいる法人であるか、ネット上だけで受注している個人ではないか。

【 場所 】 所在地はバーチャルオフィスやマンション、自宅の一室などではないか。

【 環境 】 大事な情報を預けるにあたり、セキュリティや保管に適した施設であるか。

【 設備 】 高性能なデータ復旧ツール、クリーンルームなどの作業設備を整えているか。

【 認証 】 ISO、ISMS、Pマークなどの第三者認証を取得しているか。

これだけではありませんが、誤って粗悪なサービスを選択するリスクは軽減できると思われます。そして価格についての判断方法ですが、この6つのポイントをクリアできるビジネス環境を維持する場合を前提に考えてみてください。
企業規模、地域物価、このバランスこそが適正な価格とサービスを判断する基準になると思います。

・「データ復旧会社の復元率について」 

(「復元率〇〇%」とホームページやチラシなどに誇大表示している会社には気を付けてください)

よくお客様からのお問い合わせで、「「復元率〇〇%」とホームページやチラシなどに記載している会社があるが、どのような基準になっているのか?」というお問い合わせをいただくことがございます。本来、データ復旧という作業は、お客様が本当に重要で対価をかけても復旧させたいというデータを復元することにあります。しかしながら、一般的に、お客様が本当に重要としているデータが何なのか、そしてお客様のコンピュータにどのくらいのデータ量が存在するのかということは、まったくわからないことです。従って、復旧するデータの内容をお客様ご自身から正確に知らされない限り、データ復旧作業後に希望するデータがどの程度復元できたのかも判らないものです。そして、これらすべてのことはデータ復旧が無事に達成したあとに初めて判断や確認ができるものといえます。ですから、すべてのデータ復旧業者に共通して言えることは、事前に正確な復元率など判るはずなどがないということになります。このことを前提として考えてみると、最初から「復元率〇〇%」とホームページやチラシなどに、誇大な復元率を表示している会社には、十分気をつけた方がよいと思われます。

・当協会の存在意義:

当協会会員企業ならびにデータ復旧に携わる者は、データ損失による精神的、経済的損失を最小限にするという社会的責務を負っているとの認識のもと、より社会に貢献できるよう日々努力を続けています。同様に当協会のHPやメディアを通じて、より有益な情報を社会に提供できるよう活動を続けてまいります。

< 当協会の新たなマニフェスト >

・業界全体に対して、児童ポルノ排除に対する取り組みを進めています。

日本データ復旧協会では、児童ポルノ排除に向けた取り組みを社会に先駆け、2012年2月より取り組み、業界全体に向けて、発信しています。子供たちの未来が永遠に傷つくような結果を出すことは、社会として悪しき者への助長行為でもあり、特に当業界としてあってはならないことです。その確固たる対応の証として、児童ポルノに関しては、データ復旧等への作業依頼内容から該当情報が発覚した場合、会員企業一同然るべき措置を執り行っており、悪質な場合においては警察機関への報告を行っています。

■「DRAJ 日本データ復旧協会」について

データ復旧業界の健全な発展を図るため、2010年2月1日「DRAJ 日本データ復旧協会」を発足。データ消失トラブルでお困りのすべてのお客様に対し、正しい情報を提供することで健全なる業界発展を図ることを目的とした日本を代表する業界団体として活動を続けています。

【活動内容】

  • 協会HPによる、技術情報の提供による啓蒙活動を実施する。
  • 展示会などに共同で出展し、広く一般の方にも「データ復旧事業」に関する認知向上活動を行う。
  • 「データ復旧」を行っている他社にも協会参加を呼びかけ、データ復旧業界のスタンダードを目指す。
  • 社団法人化も視野に入れて、活動基盤の充実を図る。
  • IT化促進に伴い、現在進行中のクラウドコンピューティングや仮想化等にも対応するため、各社の技術向上に努める。

※協会関連情報は、以下の専用HPでご参照ください。

URL: https://www.draj.or.jp/

《日本データ復旧協会加盟企業:平成28年12月20日現在》 ※50音順

・アドバンスデザイン株式会社
https://www.a-d.co.jp/

・株式会社アラジン
http://www.rescue-center.jp/

・大阪データ復旧株式会社
http://www.daillo.com/

・株式会社くまなんピーシーネット
https://www.kumanan-pcnet.co.jp/

・富士通インターコネクトテクノロジーズ株式会社
http://www.fujitsu.com/jp/group/fict/services/infrastructure/maintenance/technical/restore/

・株式会社データサルベージ
https://www.data-salvage.jp/

・株式会社ワイ・イー・データ
https://www.ontrack-japan.com/

※ご入会についてのお問い合わせは上記HPをご覧ください。

【報道関係のお問い合わせ先】

日本データ復旧協会事務局:

TEL: 03-5771-2262

E-mail : press@draj.or.jp

URL : https://www.draj.or.jp/

【日本データ復旧協会への一般の方々のお問い合わせ先】

日本データ復旧協会事務局:

TEL: 03-5771-2262 (月曜日~金曜日:10時~19時まで)

URL : https://www.draj.or.jp/