ニュースリリース

2011年 データ復旧業界の市場規模についての調査結果を発表

2012/9/20

2011年 データ復旧業界の市場規模の調査結果を発表

~東日本大震災での甚大な電子データ被害の全貌が明らかに~

HDD の復旧依頼件数は 78,000 台、復旧件数は 58,500 台

~ホスティング会社の大規模な事故等により、 データ復旧サービスへの認知と、バックアップへの必要性が高まる~

データ復旧の業界団体である日本データ復旧協会(住所:東京都港区、理事長:濱田兼幸、以下、日本データ復旧協会)は、昨年(2010 年(1 月-12 月)統計)に引続き、2011 年(1 月-12 月)統計のデータ復旧協会の市場規模を発表しました。 今年の調査(2011 年分)では、東日本大震災での HDD をはじめとする電子データの甚大な被害により、電子データの重要性が今までに無く認知されたと同時にバックアップの必要性も広く認識されるようになりました。

また、本年 6 月に発生した大阪のホスティング企業で提供しているレンタルサーバーの大規模な障害事故による、2300 社以上という、極めて多くの企業の WEB データが消失したことにより、改めてデータ復旧の必要性、重要性が認識されることとなりました。このように、データ復旧活動に対する社会的認知度とその必要性が上がってきている中、3 年連続で業界数字の発表を行うことは、社会的にデータ復旧業界が認知され、さらなる理解をいただくために重要な活動と位置づけ、昨年に引続き業界数字の発表を行うこととなりました。

結果は、2011 年(1 月-12 月)における業界全体の HDD の復旧依頼件数は PC の販売台数(稼働台数)の増加に加え、東日本大震災の影響により 78,000 台と前年(68,000 台)に比べて大幅に増加いたしましたが、復旧件数は 58,500 台と前年(54.400台)比で約 4,000 台の増加と推定しました。これは、震災により被災した案件の復旧率が通常に比較して低かったためであり、津波等による泥水・汚水に浸かったメディアのデータ復旧が困難であることを示しています。今年も昨年に引き続き外付けHDDの台数を加味いたしました。

外付けHDDは売れ行き好調ですが、その理由はテレビの録画用であり、PC用は横ばいと推定いたしました。 昨年の発表と異なる点は復旧依頼率と復旧率です。先にも記載いたしましたが、昨年は東日本大震災に被災したハードが多く、復旧依頼率は前年よりも高かったと認識しております。従いまして、⑥、⑬の依頼率は前年よりも 0.5~1%高い数字を適用いたしました。一方、⑯の復旧率につきましては、通常であれば80%のところ、震災品の復旧率が低かった事を加味し80%から75%に低下したと推定しております。このように、昨年は依頼品が増えたものの実際に復旧できた台数は、昨年度(2011 年)58,500 台、そして、一昨年度(2010 年)54,400 台で、7%程度の増加に留まりました。

◇2011 年(1-12 月)のデータ復旧サービス業界の統計について

① 販売台数(2011 年)IDC 参考 1,590 万台
② 稼動分(5 年分) 6,369 万台
③ メーカー故障率 0.50% ④
使用者ミス 0.50%
⑤ 復旧必要台数(②X1%) 63.7 万台
⑥ 復旧依頼率 11%
⑦ 復旧依頼台数 7 万台
⑧ 販売台数(2011 年) 300 万台
⑨ 稼動分(5 年分) 1,500 万台
⑩ メーカー故障率 0.5%
⑪ 使用者ミス 0.5%
⑫ 復旧必要台数(⑨X1%) 15 万台
⑬ 復旧依頼率 5.5%
⑭ 復旧依頼台数 0.8 万台
⑮ 合計復旧依頼数 7.8 万台
⑯ 復旧率 75%
⑰ 復旧台数 58,500 台

①PC 販売台数は IDC 発表の数字
⑥ ⑬復旧依頼率は、昨年同様の各社の経験値に、東日本大震災被災を鑑みた増加(0.5~1%)を加えた。
⑧外付け HDD 全体のマーケットは 700 万台と予測されているが、レグザなど主要各社の薄型テレビで利用されて いる外付け HDD を除き、PC 用を 300 万台と予測 ⑨稼働台数は経年と共に稼働率が下がる事を加味して推定
⑬外付け HDD の復旧依頼率は製品の性格上、PC より低く各社の推定により PC の半分程度と予測 ※売上急増の USB 接続外付け HDD を加算し、統計データの制度を高めました。 昨年は PC 本体、サーバーの数字を元に推定いたしましたが、本年は特に最近売上が急増し、一般的に利用されるようになってきた USB 接続の外付け HDD と NAS の数字を加え、更に過去の PC 稼動台数にも深い考察を加え、数字の精度をより高めました。

■本年(2012 年)のマーケットの展望と課題

●BCP(事業継続化計画)意識の高まり

2012 年は昨年の東日本大震災の影響がなくなり、また景気の低迷、BCP(事業継続化計画)の意識の高まりによるハードウェアの増強などにより、昨年比微減と見込んでいます。しかしながら、大規模サーバーの事故に見られるように、バックアップを適切に取ることの難しさや設備を充実するための資金的な問題、更に適切に設備を稼動させるための人的資源の問題も浮上してまいりました。そのような観点からも、データ復旧事業の重要性が今後益々増していくものと考えています。

●スマートフォンやタブレット端末の普及に関して

一方、タブレット端末、スマートフォンが急速に普及する中、これらの端末のデータ復旧技術は残念ながら未だ確立されていません。現在、タブレット端末やスマートフォンのデータ復旧を行っている会社はありますが、データが暗号化されているために復旧できないといった技術的な困難さが存在しており、今後の研究開発が必要な分野です。 日本データ復旧協会として、業界のスタンダードサービスとして、サービス提供が出来る段階になりましたら、あらためて発表させていただきます。

■日本データ復旧協会に対するユーザーからのご質問について

データ復旧協会設立の目的の一つはデータ復旧に関する正しい情報を利用者にお伝えするというものです。従いまして、協会参加各社はHP 記載の内容に関し正しい情報を記載しなければならないとの内部規定に沿った掲載を行っております。この点は業者を選定される場合にご確認して頂ければと 存じますが、実際にどのような点に留意すれば良いのか協会へのお客様からのご質問を参考にしてまとめてみました。

① 「復旧率」について

業界数字の発表に際し、データ復旧の復旧率は80%という数字を使用しております。これは、お客様からお預かりした媒体の内、どの位の率で復旧が可能となったかを台数ベースで表現した数字です。即ち 復旧率=復旧可能台数÷初期調査依頼台数です。この80%という数字は協会参加各社の数字から妥当※3と考えております。

また、協会参加各社は復旧率をHPに掲載していません。協会定義に従った復旧率は日々変化するもの、また99%のデータが復旧可能でも、残り1%に必要なデータあった場合、この復旧率は意味を持たないとの認識の下※4、参加各社は発表しておりません。 ※3: 協会未加盟の企業には、これよりも高い数字を掲載している業者もありますが、一般的に理解される定義ではなく、営業上算出した数値と考えられるため、信憑性の点から、当協会としては承認しておりません。 ※4: 復旧率は、機械的な故障の場合、損傷の程度に大きく左右され、論理的な障害であっても、フォーマットや削除後に完全上書きされていて復旧不能と判断されるケースも相当数存在します。また仮にデータの復旧が可能だったとしても使用者が希望するデータが復旧できなければ意味がありません。復旧率は集計する企業側の都合で90%とも95%とも言うことが出来ますので、協会といたしましては復旧率を比較することは意味がないと考えております。

② 「初期調査」について

初期調査無料と謳っている会社が殆どですが、協会として各社の実情を勘案し、この初期調査が何を指すかは規定していません。初期調査では媒体の状態を確認するだけの会社、復旧の可能性について簡易調査する会社、復旧可能なファイルリストまで提供する精密調査を行う会社もあります。従いまして、データ復旧サービスへの依頼をされる際に、「初期調査」とは何を意味するのか、媒体を送る前に確認していただくことが必要となります。協会会員社におきましては、「初期調査」を行った内容を必ずユーザーに伝え、お互いの信頼関係の中でビジネスが進むことを奨励しております。

③ 「価格設定」について

お客様からのご質問で業者紹介依頼の次に多かったのが、価格が適正かどうかのご質問でした。データ復旧の価格設定もそれぞれの考え方があり、協会として規定できるものではありません。お客様にとって分かりにくい部分があることも承知しておりますが、価格協定を結ぶことは法律に抵触いた しますので、協会内でも開示はされていません。ただ、お客様に留意頂きたいポイントは価格に納得のいく説明があるかどうかです。 例えば、調査後の見積価格を確認した後にキャンセルする旨を伝えた場合、何らかの理由をつけて半額以下の価格を提示するなど価格の変動が激しい業者は、最初の価格の妥当性が疑われますので注意が必要です。

日本データ復旧協会は電子データの重要性及び、データ復旧サービスへの関心や期待度の高まりにお応えするべく、より社会に貢献できるよう努力して参る所存ですので、今後とも報道各社のご支援、ご鞭撻をお願いする次第です。

■「日本データ復旧協会」について

アドバンスデザイン株式会社(本社:神奈川県川崎市川崎区、代表取締役:本田正)、株式会社アラジン(本社:福岡県福岡市中央区、代表取締役:長濱慶直)、株式会社くまなんピーシーネット(本社:熊本県熊本市、代表取締役:浦口康也)、株式会社データサルベージ(本社:東京都港区、代表取締役 阿部勇人)、株式会社ワイ・イー・データ(本社:埼玉県入間市、取締役社長:濱田兼幸)のデータ復旧大手五社が、高度情報化社会の振興に伴い、社会的な意義の大きな事業分野となっている「データ復旧業界」の健全な発展を図るため、2010年1月1日(金)に設立準備総会が開催され、同年2月1日(月)より、「日本データ復旧協会」が正式に発足いたしました。初代協会理事長にはワイ・イー・データの濱田兼幸社長が就任し、お客様に対する正しい情報提供することで健全なる業界発展を図ることを目的とした協会事業を推進しています。 具体的な活動内容としては、以下のとおりです。

①協会 HP による、技術情報の提供による啓蒙活動を実施する。
②展示会などに共同で出展し、広く一般の方にも「データ復旧事業」に関する認知向上活動を行う。
③「データ復旧」を行っている他社にも協会参加を呼びかけ、データ復旧業界のスタンダードを目指す。
④社団法人化も視野に入れて、活動基盤の充実を図る。
⑤IT化促進に伴い、現在進行中のクラウドコンピューティングや仮想化等にも対応するため、各社の技術向上に努める。

《日本データ復旧協会加盟企業:平成24年9月20日現在》※50音順
アドバンスデザイン株式会社 ・株式会社アラジン ・大阪データ復旧株式会社 ・株式会社くまなんピーシーネット ・信越富士通株式会社 ・株式会社データサルベージ ・株式会社ワイ・イー・データ